2010年07月06日

ハロー、ワーク。 ハロー、ブラインドワールド。

「こんにちは、お仕事」

誰がつけたのか、この愛称。

手続きのため初めて足を運んだが、

そんな愛嬌のカケラもない、巨大で冷たい印象の建造物内23階。

ハロー、ワーク。

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ニュースで見たとおり、人でいっぱいだった。

「こんにちは、お仕事」 とはいうものの自分でパソコンから探すわけで、

そこにある数十台のパソコンは、もちろん空席なし。

他の人の動きには目もくれずパソコンを見つめる人たちの周囲の壁には 「置引きに注意!」 の文字。

多くの人であふれているはずの空間は、不思議と病院の雰囲気に似ていた。



その後の会議室での説明会。机が一体化した窮屈なイスに座り、約2時間。

担当のおねえさんは淡々と事務的な説明を終えた後、

「みなさんが一日も早くお仕事に就けるよう全力で応援させていただきます」 と顔色ひとつ変えずに言った。

そして受講者はずっと顔色ひとつ変えずに聞いていた。





あまりにも窮屈だったため、ちょっと体勢を変えたときにペンケースの中身がバラバラと落下...

ビーチサンダルを履いた自分の足下に散らばったペンを拾おうと手間取っていると、

隣のおじさんが身をかがめて拾うのを手伝ってくれた。

スーツを着て歳は40〜50くらいのそのおじさんは、無言でペンを手渡してくれるとき、笑顔だった。

少し呆れたようなその笑顔は、

ビーサンを履いたマナーの悪い騒がしい若者をなだめる大人の表情なのか、

それとも純粋なおじさんの優しさが滲んだのか...

いずれにせよ、今日初めて見たその人間臭い笑顔に、

ほっ とした。





説明会が終わり、スタンプをもらうため当然のように無言で列をつくる人たち。

ロボットのようだった。

そして自分も、一言も発することなく手続きを終えてビルを出た。

結局 「こんにちは」 も言うことはなかった。





帰りの新宿駅構内。

相変わらずの人、人、人...

何かに憑かれたように無言で一点を見つめ足早に歩く人々。

ぶつかりそうでぶつからない。

不思議と静寂につつまれた世界。

ハロー、ブラインドワールド。

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高円寺駅を出ると、今日も消費税引き上げに反対する選挙カーの演説が行われている。

熱弁をふるう候補者の目は、社会全体ではなく、おそらく対立政党を陥れることしか見ていないのだろう。

「消費税の増税に反対!(おれも困る!)」

でも 「じゃあ日本の財政は誰がどうするんだ?(詳しいことはわからないけど...)」

そんなことっていっぱいある。

でもいまの社会で仕事をするって、少なからずそういうことなんだと思う。

何かを求めれば、何かは見えなくなる。 いや、見ないようにする。





ハロー、ワーク。

ハロー、ブラインドワールド。





Take Me Somewhere Nice...




posted by kissi at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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